(当記事は3月14日に開催した3・14「女たちのリレートーク あれから10年 今こそ脱原発の実現を!」集会の報告です。)
以上、
3月14日(日)14時より、Zoomミーティングによるオンライン集会で、リレートークを行いました。リレートークでは、国会議員お二人をはじめ、各地で活動している方々、福島を見つめてきた方々など14人の方からのメッセージを頂きました。それぞれの方の個性、活動のあり方のあらわれた印象深いお話ばかりでした。オンライン参加者数は最大で107名で、途中の出入りはありましたが、常時100名以上の方々が熱心に見てくださっていました。最後にほぼ全員で「福島を忘れない」ことを確認し合い、有意義なミーティングとなりました。

<リレートーク要約>
[大河原雅子衆議院議員]
あれから10年経ちました。ちょうど10年前のあの時に私は参議院で決算委員会の最中で、直下型かと思うような揺れでした。当時は8割の国民がいらないと言った原発ですが、今は逆方向に振れています。政権交代なしに原発政策は変えられません。私達にはすでに出している法案があります。女性の声を入れ、具体的政策で、地域から、新しいエネルギーで環境立国の新しい政府をつくりましょう。次の衆議院選挙ではしっかりとエネルギー選択をしてゆきましょう。
[福島みずほ参議院議員]
まず、被災された皆さんを今後も国会で全力で応援してゆきます。
原発事故の当時は、そんなことがあれば原発はできないと言われていた全電源喪失が起きました。送られた電源車も規格が合わず、ベントするしかなかったのが、実はそのベントも行われていなかったということが判明しました。人の命を全く考えていない、これが原発の実態です。菅総理が正常という原発の何が正常でしょうか。再稼働などありえません。電力会社に原発を動かす資格はないし、規制委員会も自分たちで作った地震ガイドを守っていません。いつでもまた事故が起き得る状態です。今年はエネルギー基本計画見直しの年です。命を大事にする女の力を合わせ、政治の場で脱原発を意思決定してゆきましょう。
[神田香織さん]
私は福島県いわき市生まれの講談師です。35年前にはだしのゲン、2002年にチェルノブイリの講談を手がけました。私たちの仕事は昔のことを今のように語ることでもあり、10年前はつい先ごろです。現在、講談で自主避難の話をしており、今年は9月18日に中野小劇場で子供の話を演じます。避難先で福島のことを隠さねばならず、悩んだ少年がローマ教皇に手紙を書き、訪問することになり、自信を持つ話で、ご本人・ご家族にも許可を頂きました。私は自分のできる「語り」で福島のことを伝えてゆきたいと思っています。
[武藤類子さん]
福島の三春町から参加しています。
10年目は節目でも終わりでもなく、多くの被災者の苦悩は今でも続いています。福島での災害関連死は2313人、自殺は118人に及んでいます。高濃度の汚染水は海に、汚染土は各地にばらまかれようとしています。甲状腺がんの検査は縮小方向です。産官学で研究都市をつくる計画が進んでいます。こういう状況が被災者の望む復興でしょうか。
2019年に全員無罪となった東電刑事裁判、今年は控訴審です。初公判の日には東京高裁を囲んでください。私たちには10年でとどまっているひまはありません。お互いにいたわり合いながら、軽やかに朗らかにやってゆきたいと思っています。
[池田千賀子さん]
新潟柏崎から参加しています。柏崎刈羽原発再稼働についての東電の説明会が始まった後、安全工事が完了していなかったことが発覚しました。更にID不正の問題も出てきました。国の原子力規制の在り方が大きな問題です。ID不正については、昨年9月に規制庁に報告されていたのですが、規制委員会には隠されたまま、規制委員会が最後の合格承認を出しました。けれど、この件がスクープされると規制庁は委員会に報告しました。問題を軽視して合格ありきだったのです。昨年、エネ庁は新潟に80回も来ています。検証を早く幕引きしたいのでしょうが、これらのことが重なって東電の今後の検査日程は未定となっています。県はきちんと検証を進めてほしいですし、国会でもしっかり議論してほしいです。
[古今亭菊千代さん]
平和でなくては笑ってもらえないという気持ちで落語をやっていますが、コロナ、女性蔑視など暗い気持ちになるニュースが多いですね。3.11には東電前に行きましたが、このところの大震災原発関連のニュースを見ると一人一人のドラマを感じ、胸が痛みます。
コロナの収束もままならない中でのオリンピックの強行開催やら、原発再稼働やら、許せないと思います。原発が必要と思う人、差別意識の強い人が社会の中心にいることに腹が立ちます。伝統文化は大事ですが、悪しき因習は排してゆくべきです。元気にいろいろ笑い飛ばし、言いたいこと、言わねばならないことを言ってゆきたいと思います。5月には大阪で芸人9条の会もありますので、よろしく。
[鎌仲ひとみさん]
核にフォーカスした映画を作り続けてきましたが、3.11は絶望的でした。「小さき声のカノン」から5年たちましたが、これからの10年を展望するといまだにあまりにも課題が多すぎるように思います。特に気になるのがチェルノブイリとの対比です。チェルノブイリは2年で石棺にしたのに、福島は汚染水を流し続けています。チェルノブイリでは汚染地図を作り、それにもとづいて法律が作られ、対策がとられましたが、日本ではほったらかしです。被災者の中でも特に子ども、その健康被害があまりにも語られていないと思います。
失ったものをとりかえすだけでなく、あきらめずに一緒に新しいビジョンを作っていきたいと思っています。「小さき声のカノン」はネットでも見られます。見て考えていただければ幸いです。
[崎山比早子さん]
10年経っても、事故の責任を取るべき人たちが各組織のトップに居座り続けています。同じ過ちを繰り返す可能性が高いのではないでしょうか。原子力安全神話をもう誰も信じていないにもかかわらず、いまだにばらまき、それも子供に放射能安全教育として刷り込んでいます。組織のトップのこうした問題な人たちに責任を取らせていかなければならないと思います。
[高島美登里さん]
山口で上関の会の写真展を開催中で、そこから仲間たちと参加しています。上関の海は生物多様性のホットスポットで奇跡の海と言われています。ここで10年前の2月にはもう埋立てが始まる、絶体絶命かと思われたのが、3月の大震災・原発事故でストップとなりました。その後、上関町長も原発財源に依存しない決断をしました。中国電力はいまだに原発の計画をあきらめていませんが、私たち上関の自然を守る会は、地域経済の課題を解決して、自然だけはどこにも負けない故郷の誇りを取り戻すためにがんばります。これが被災された方々への私たちのエールです。
[満田夏花さん]
各地で皆さんが地道にねばり強く運動しておられますが、崎山さんのご指摘のように、上層に無責任体質がしみこんでいて、次世代にツケをまわしているのが現状です。エネルギー基本計画の見直しが進んでいますが、検討している委員会の24人のうち、まともな人は一人くらいかという感じで、原発推進の大合唱、一般の感覚と乖離しています。カーボンニュートラルのためには原発、と推進派は言いますが、原発は電気の大量消費を伴うものでもあります。今後の社会のあり方としては、単に再生エネルギーであればすべてよしというのではなく、エネルギーの大量消費こそを見直していかねばならないと思います。
[渡辺一枝さん]
私は2011年の夏から毎月、福島に通っています。多くのメディアが10年を節目と言いますが、歴史の一コマにしてはいけません。私は、一人一人の身に何が起きたかを書くと共に、じかに伝えて頂く会も持つようにしています。
現地は地図がすっかりぬりかえられてしまいました。もともとは田畑だったところに、声高な復興のかけ声と共に大規模な復興施設が造られ、太陽光パネルがはりめぐらされ、除染土が運び込まれ、あるいは海に戻り、野獣に荒らされ、と、もともとの里山や人の暮らしの痕跡がかき消されてしまっているのです。こうしたことを今後も書き続けてゆきます。
[森松明希子さん]
私は郡山に住んでいましたが、震災の二ヶ月後に大阪に移り、ずっと国内母子避難を続けています。震災、原発事故とその被害は、今後もどこにでも誰にでも何度も起こる可能性があると思います。原発は、選択しなければなくてもすむものですが、ひとたび事故がおきれば、放射性物質は、賛成した人にも反対した人にも無差別にまき散らされます。また、事故がなくても、原発での労働、核廃棄物などの問題もあります。したくない被曝を拒否し、誰の子どもも被曝させない、無用な被曝をせずに健康に生きる権利を守るために、分断されずに福島だけでなく世界の人たちとつながってゆきましょう。
[芦原康江さん]
福島の事故の前は止まっていた島根原発ですが、これから2基、新増設・リプレースが予定されています。福島のいまだにあやうい状況を考えれば、再稼働などあり得ないと思いますが、適合性審査の終了が間近で、再稼働を許せば40年を超えて動かすことも予想されます。30キロ圏内には46万人の住民が住んでいるのです。安心して暮らせる街を取り戻したい。全ての原発を廃炉にしてゆきましょう。
[おしどりマコさん]
あいかたのケンさんと「おしどり」の漫才をしています。原発事故の取材をしていましたが、今は記者登録をしてコロナの取材もしています。どちらについても、こんなにも市民がふみにじられるのかと驚くことばかりです。先日、原発の裁判の90才の原告が東京に来ました。第二波の時期にコロナが怖くないかたずねましたら、コロナは怖いけど、原発事故はもっと怖い、放射能は家に入ってくる、と。原発事故の緊急事態宣言はずっと出たままなのです。2011年の事故で原発は手放す決断をしたかと思いきや、今また原発推進の動きがありますが、放射能は炭素よりももっと悪いものです。コロナの政策も世界の民主主義をテストできるもので、日本はだめだと思いますが、原発もそう。今後も取材を続けてゆきます。
以上、